2008 Fiscal Year Annual Research Report
C型慢性肝疾患の亜鉛および多価不飽和脂肪酸による病態進展抑制効果に関する研究
Project/Area Number |
20700596
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
村上 泰子 Okayama Prefectural University, 保健福祉学部, 助教 (90326413)
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Keywords | 慢性肝疾患 / 亜鉛 / 魚油 |
Research Abstract |
【背景・目的】先に, ペグインターフェロン・リバビリン併用療法を施行するC型慢性肝炎患者に対し, 亜鉛とビタミンE・Cの同時投与を行い, 低血清亜鉛の改善に伴い血清ALT値が全症例で基準値内に改善することを確認した。一方, 慢性肝疾患におけるPUFA不足は, 食事摂取量の低下, 消化吸収低下, 肝生合成の低下, 脂質のエネルギー要求量基質としての増加等により引き起こされる。PUFAは細胞膜の流動性や免疫能の維持, PGE2を介した肝細胞保護作用, 発癌抑制等を肝疾患に対し有用であることが知られている。脂質栄養状態の是正を目的としたn-3系脂質補給の効果の一方で, 亜鉛欠乏状態でのEPA投与は肝臓の脂質過酸化をむしろ増強させることが動物試験において示されている。そこで動物実験において亜鉛欠乏時におよび慢性肝障害モデルにおける亜鉛, n-3系脂質補給が, 抗酸化系, 線維化系, 肝障害に及ぼす影響を検討した。【方法】ラットにジメチルニトロサミン(DMN)を投与し肝線維化を誘発させ低亜鉛食, 低亜鉛-高EPA食, 高亜鉛食, 高亜鉛-高EPA食の影響を検討した。【結果】体重および摂餌量はDMN投与開始後漸減したものの, 各群における有意な差は認められなかった。肝障害指標であるASTは低亜鉛-高EPA食ではコントロール食および高亜鉛-高EPA食に比較して有意に低値であった。また血清SOD活性は低亜鉛食に比し低亜鉛-高EPA食で有意な上昇が見られた。活性化伊東細胞に特異的に発現されるαSMAタンパク質のイムノブロティング陽性バンドのシグナルは低亜鉛食>コントロール食>高亜鉛食の傾向がみられたものの, 再現性は得られなかった。【考察】本実験では亜鉛とEPAが肝線維化, 肝病態に及ぼす影響について検討したが, 組織学的, 生化学的な明らかな差は認められなかった。今後, 栄養条件等, 実験方法の再検討を行い, その影響について更なる追求を行いたい。
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