2011 Fiscal Year Annual Research Report
C型慢性肝疾患の亜鉛および多価不飽和脂肪酸による病態進展抑制効果に関する研究
Project/Area Number |
20700596
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
村上 泰子 福山大学, 生命工学部, 講師 (90326413)
|
Keywords | 肝線維化 / EPA / 亜鉛 |
Research Abstract |
[目的]C型慢性肝炎に代表される炎症性の慢性肝疾患の病態進展には酸化ストレス亢進が大きく関与する。我々はこれまでに栄養学的側面から肝炎症、肝線維化に対する抗酸化ビタミンや亜鉛、n-3系脂質の補給効果を確認してきた。平成23年度においては慢性肝障害モデルを用い、亜鉛(Zn)およびEPAの肝線維化および抗酸化系に及ぼす影響について検討を行った。[方法]コリン欠乏高脂肪食摂餌ラットに対し亜硝酸塩を腹腔内投与し、慢性肝障害(CH)モデルを作成し、(1)コントロール群、(2)CH群、(3)EPA補給群、(4)EPA・Zn補給群に割り付け検討を行った。[結果]CH群に対し、EPA補給群およびEPA・Zn補給群で、血清AST値は有意の低値を示し、血清総タンパク値は高値を示した。血清Zn濃度はEPA・Zn補給群で高値であった。Azan染色による肝線維化の組織学的観察、ならびに線維化関連遺伝子のmRNA発現において、EPAや亜鉛の明らかな影響は観察されなかった。抗酸化指標、過酸化脂質指標はCH群で各々低下、上昇していたが有意な変化ではなかった。肝PL脂肪酸量の検討ではEPA補給を行った2群ではCH群に比し、n-3系脂肪酸の上昇と伴にn-6系脂質およびオレイン酸(18:1 n-9)の有意な低下が確認された。肝TG脂肪酸量においても同様の結果が認められた。[考察]慢性肝障害動物モデルの本検討では、EPA補給を行った群で血清AST、血清ALPの改善が観察された一方で、肝線維化系に対する明らかな効果は認められなかった。また脂肪酸測定により、EPA投与がコリン欠乏による脂肪蓄積代謝系に大きな影響を与えることが観察され、今後の詳細な検討の必要性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)