2008 Fiscal Year Annual Research Report
シルクタンパク質セリシンのメタボリックシンドローム抑制作用の発見
Project/Area Number |
20700597
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
岡崎 由佳子 Fuji Women's University, 人間生活学部, 講師 (80433415)
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Keywords | セリシン / メタボリックシンドローム / アディポネクチン / 脂肪酸合成関連酵素 / 肝臓脂肪 / 高脂血症 / 高脂肪食 / ラット |
Research Abstract |
シルクタンパク質セリシンが高脂肪食摂取ラットの脂質代謝に及ぼす影響について検討を加えた。SD系雄ラットに20%牛脂食, あるいは20%牛脂食に4%セリシンを添加した食餌を一定量の制限食とし摂取させた。成長量, 食餌摂取量, 肝臓重量および脂肪組織重量は, セリシン摂取による影響を受けなかった。血清トリグリセリドはセリシン添加食群において有意に減少し, この作用は, 主にVLDLトリグリセリドの低下によるものであることが示された。血清コレステロール, VLDLコレステロールおよびLDLコレステロールもセリシン摂取により有意に減少することが明らかとなり, これらの結果からセリシンは高脂血症を抑制することが示された。肝臓脂質への影響について検討を行ったところ, 食餌セリシンは, 肝臓トリグリセリドと肝臓脂肪酸合成関連酵素であるリンゴ酸酵素活性およびグルコース6-リン酸脱水素酵素活性を有意に低下させることが明らかになった。一方, 脂肪酸分解系酵素であるカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼの活性は, セリシン摂取による影響を受けなかった。そのため, セリシンによる肝臓脂質低下作用のメカニズムには, 主に脂肪酸合成系の抑制が関与しており, 脂肪酸分解系のメカニズムは関与していない可能性が示された。セリシンの血中アディポサイトカインへの影響について検討を加えた結果, メタボリックシンドロームの予防因子として注目されているアディポネクチンがセリシン摂取により顕著に増加していることが見出された。これらの結果より, セリシンは高脂肪食摂取下での脂質代謝の改善に有効である可能性が示された。
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