2009 Fiscal Year Annual Research Report
生活環境要因がもたらすホルモン依存性癌に対するメトキシフラボノイドの予防効果
Project/Area Number |
20700601
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
竹村 ひとみ Matsumoto University, 人間健康学部, 助手 (60295558)
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Keywords | ホルモン依存性癌 / がん化学予防 / エストロゲン代謝 / メトキシフラボノイド / cytochrome P450 / benzo[a]pyrene / アリル炭化水素受容体 / DNA付加体 |
Research Abstract |
タバコ煙中に含まれる多環芳香族炭化水素の1つbenzo[a]pyrene(BaP)は、アリル炭化水素受容体(AhR)を介してcytochrome P450 1A1(CYP1A1)、CYP1A2およびCYP1B1を誘導する。BaPは主にCYP1sにより代謝活性化された後、最終的にbenzo[a]pyrene-7,8-diol-9,10-epoxide(BPDE)としてDNAと付加体を形成することが報告されている。そこで本研究では、ヒト乳癌細胞MCF-7におけるBPDE-DNA付加体の形成に対するメトキシフラボノイドの影響およびそのメカニズムについて検討した。 (1)メトキシフラボノイドの1つクリソエリオールは、BaPの代謝酵素であるCYP1 mRNA発現を抑制することが明らかとなったため、AhRに対するアンタゴニスト作用について検討した。Ahイムノアッセイにより、BaP 0.1μM、クリソエリオール0.1~10μMにおいて、AhR-BaP複合体の形成は有意に抑制された。また、S. cerevisiae YCM3株を用い、BaPとクリソエリオール添加15時間後のβ-グルコシダーゼ活性を測定したところ、BaP 1μM、クリソエリオール100μMで活性の抑制が認められた。 (2)BaPおよびクリソエリオールにMCF-7細胞を24時間処理した後、細胞よりDNAを抽出し、LC-MS/MS分析を実施した。10μMクリソエリオールはBPDE-DNA付加体の形成を有意に抑制した。中でも最も主要な付加体である(+)-tans-BPDE-dGの形成を強く抑制することが明らかとなった。 以上のことから、クリソエリオールはBaPのAhRへの結合を阻害することにより、BPDE-DNA付加体の形成を抑制することが明らかとなった。クリソエリオールは、BaP由来の発癌に対し化学予防的に働く可能性が示唆された。
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