2009 Fiscal Year Annual Research Report
朝食の欠食が精神活動時の脳血流および循環機能に及ぼす影響
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20700602
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Research Institution | Aichi Gakusen University |
Principal Investigator |
澤井 明香 Chiba Prefectural University of Health Sciences, 健康科学部・栄養学科, 助教 (00454330)
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Keywords | 朝食欠食 / 脳血流 / 自律神経活性 / 精神活動 / 交感神経 / 副交感神経 / NIRS |
Research Abstract |
昨年は成人を対象に欠食が脳血流や循環機能へ及ぼす影響を検討した為、本年は子どもを対象に昨年と同様の実験を実施して成人と比較した^<1)>。また上記結果を利用した食育をおこなった^<2)3)>。 1) 朝食常食者の中学生(生徒)と成人は、前日の所定時刻に規定夕食を摂取して、翌日に規定朝食を摂取した日と欠食した日の両日に、心電計、脳血流計(NIRS)を装着し、安静後に精神活動負荷(暗算)を15分受けた。両群は共に、欠食日は摂取日よりも課題の達成数が有意に低下し、安静時の副交感神経活性や、精神活動時の前頭前野の組織酸素化指標(TOI)は有意に高値を示した。課題の正解率や交感神経活性は、生徒のみ摂食と欠食日で有意差がみられた。生徒と成人は、朝食欠食で共に、課題遂行や脳血流、自律神経機能に影響が生じたが、生徒で交感神経活性に特に顕著であった。 2) 中学生を対象にして、食育の場で欠食の問題点を客観的かっ簡易に測定可能な指標の検討を行った。欠食日は摂食日よりも、登校時のフリッカー値と気分尺度POMSの「活気」が有意に低く、気分尺度VASの「眠気」「空腹感」は有意に高く、昼前実施のストレス課題後は、唾液アミラーゼ値、POMSの「怒り・敵意」「混乱」「疲労」、VASの「眠気」「疲労」「空腹感」が有意に上昇した。これら指標は欠食が心身に及ぼす影響の一部を客観評価でき簡易に扱える為、食育で利用し得る可能性がある。 3) 中学生に欠食を伴う上記簡易測定を取り入れた食育と通常の講義授業を実施し、3カ月後に朝食がテーマの共通の食育を行い、アンケート調査にてその効果を比較した。測定体験授業受講者は、講義受講者よりも記述式の質問の回答率が高く、回答語句数も有意に多く、授業で学習した言葉を活用した者の数も有意に高かった。欠食を伴う簡易検査体験は朝食摂取の意識や授業理解を深めるのに役立つ可能性があった。
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