2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700604
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
三田 有紀子 Sugiyama Jogakuen University, 生活科学部, 講師 (00410613)
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Keywords | クロム / 出納試験 / ICP-MS / 食事摂取基準 |
Research Abstract |
現在我が国で用いられている「日本人の食事摂取基準」では、クロム(Cr)の推定平均必要量および推奨量が海外のデータを基に策定されている。これは、日本人を対象としたCrの調査が乏しいためであり、今後は日本人における基礎的なデータの蓄積が重要であると考えられる。そこで、当該年度の研究では、研究の趣旨に同意を得られた20歳前後の日本人若年健常女性5名を被験者とし、Cr出納試験を行った。試験期間は1週間とし、その1週間前より食事調査、生活調査等を行い、試験期間中の食事は陰膳法により回収した。試験期間中の尿および糞便は、24時間ごとに全量回収した。回収した食事、尿および糞便はそれぞれ均一化後、マイクロウェーブで湿式分解し、ICP質量分析装置を用いてCr濃度測定した。被験者の尿中Cr排泄量は1日当たり0.18±0.08μgとなり、先行の知見と合致した。総Cr摂食量では9.36±1.83μg/日となり、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」で設定されているCrの推定平均必要量を大きく下回る結果となった。また、糞便を採取できた3名の被験者においてCr出納を算出したところ、1名は正の出納を示し、2名は負の出納を示した。負の出納を示した被験者では、正の出納を示した被験者と比べて糞便中Cr排泄量、尿中Cr排泄量ともに高値を示した。この被験者について食習慣および生活習慣を調べたところ、1名は普段の食生活における食物繊維摂取量が多いことが明らかとなった。また、負の出納を示した1名は全く運動習慣のないことが確認され、正の出納を示した1名には習慣的な運動習慣があることが確認された。先行研究において、食物繊維がCrなどの微量元素の排泄を促進することが報告されおり、運動習慣の有無で尿中Cr排泄量が変化することが明らかにされている。以上の結果より、Cr出納では個人差が大きいものの、生活習慣や食生活の内容と関連性があると推察された。
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