2009 Fiscal Year Annual Research Report
腸管マクロファージのCD14発現制御機構に関する研究
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20700607
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Research Institution | Hagoromo International University |
Principal Investigator |
中田 和江 Okayama Prefectural University, 保健福祉学部, 助教 (60411740)
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Keywords | 食と栄養 / 粘膜免疫機構 / 腸管マクロファージ / LPS / CD14 |
Research Abstract |
腸管マクロファージ(IM)がLPSに応答しないメカニズムは、LPS受容体が細胞膜上に発現していないことによる。研究代表者は、これまでの研究から、IMのCD14(LPS受容体)は小胞体上に局在していることを確認した。小胞体ではタンパク質の品質管理機構が存在し、構造の異なるタンパク質は輸送されない。前年度、IMのCD14タンパク質の分子量が、培養細胞(RAW264.7)や腹腔マクロファージ(PM)とは異なり、数kD大きいことを明らかとした。この原因として、cDNA配列からは約40kDほどのタンパク質と予測されているCD14が実際には約55kDであることから、何らかの修飾を受けている事が考えられた。マウスのCD14では5つのN型糖鎖付加部位があるため、今年度はN型糖鎖の修飾がIMとPMでは異なる可能性を追求した。IMを酵素的に脱糖鎖処理し、抗CD14抗体を用いたウェスタンブロッティングにより、分子量の変化を観察した。この結果、コントロールのRAW264.7では、N型糖鎖切断処理によりCD14の分子量が小さくなったが、IMには変化が見られなかった。また、0型糖鎖切断処理では、共に分子量の変化は見られなかった。したがって、IMのCD14は、糖鎖付加の修飾により膜への輸送が抑制されているのではなく、別の修飾機構が働いている可能性が考えられた。CD14については、糖鎖修飾の報告はあるが、翻訳後修飾による発現制御に関する報告はまだない。また、CD14はGPIアンカー型タンパク質であるが、GPIアンカータンパク質の小胞体における修飾の過程についても、まだ詳細は明らかにされていない。以上のことから、今回明らかになった結果は、粘膜免疫装置における組織マクロファージの異物に対する過剰応答を抑制する制御機構,として、CD14の翻訳後修飾における新規な制御機構の存在を示唆していると考えられる。
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