2008 Fiscal Year Annual Research Report
小腸傷害ラットにおけるペプチド栄養の栄養改善効果を反映する指標の網羅的探索
Project/Area Number |
20700610
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
白神 俊幸 Notre Dame Seishin University, 人間生活学部, 准教授 (70363596)
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Keywords | 小腸 / 粘膜傷害 / ラット / 大豆ペプチド食 / 血漿 / 抗体アレイ / サイトカイン |
Research Abstract |
たん白質消化産物は、遊離アミノ酸としてだけでなく、ジおよびトリペプチドの形で速やかに吸収される。このペプチド吸収を担っているのが、小腸刷子縁膜微絨毛に局在するペプチド輸送担体PEPT1である。これまでに、5-Fluorouracil(5-FU)の消化管内投与により実験的に小腸粘膜を傷害したラットにおいて、アミノ酸や糖の吸収が低下するがジペプチド吸収はPEPT1の発現保持により維持されること、また、昨年度の本助成研究では、5-FU投与により小腸を傷害したのちに分離大豆たん白質食、特に大豆オリゴペプチド食を1週間摂取させると、カゼイン食や遊離アミノ酸食を摂取させた群に比べ、血漿アルブミンなど栄養状態を反映する血液生化学検査値に改善効果が現れることを明らかにした。そこで本年度は、これらの栄養改善効果を踏まえ、炎症および抗炎症に関わる各種サイトカインやたん白質の血漿濃度の変動を網羅的に解析することを目的とした。 上述のように小腸傷害後に各種たん白質源を含む食餌を摂取させたラットの血漿を用いて定量抗体アレイ解析により比較した結果、特に大豆ペプチド食摂取群において、IL-6やIL-10といったサイトカインのほか、ある種の細胞膜たん白質やプロテアーゼインヒビターの血漿濃度が正常ラットのレベルに回復する傾向を示すことが明らかとなった。これらの知見は、炎症性腸疾患などの腸管粘膜傷害時や炎症時における早期回復促進を目的とした効果的な栄養補給法や食事療法を開発するうえで極めて重要な情報であり、今後上記指標分子群の栄養改善効果との関連性および調節機構について詳細に検討する必要があると考えられた。
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Research Products
(1 results)