2009 Fiscal Year Annual Research Report
小腸傷害ラットにおけるペプチド栄養の栄養改善効果を反映する指標の網羅的探索
Project/Area Number |
20700610
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
白神 俊幸 Notre Dame Seishin University, 人間生活学部, 准教授 (70363596)
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Keywords | ラット / 小腸 / 粘膜傷害 / 大豆ペプチド / 栄養改善 / 血漿 / アルブミン / サイトカイン |
Research Abstract |
5-Fluorouracil(5-FU)投与により腸管粘膜を傷害したラットにおいて小腸のペプチド吸収が維持されることが明らかになっている。本研究では、5-FU投与Wistar系雄性ラットに、各種窒素源(カゼイン、分離大豆たん白質、大豆ペプチドあるいは遊離アミノ酸)を14%含む食餌を一週間摂取させ、栄養障害に対する各種血液生化学指標および炎症・組織傷害に関わるサイトカイン類の血漿濃度の変動との関連性を検討してきた。分離大豆たん白質食や大豆ペプチド食摂取によって糖質、たん白質、脂質代謝を反映する各種血漿指標に改善効果が現れたが、その中で特にたん白質栄養状態を反映する血漿アルブミン値およびアルブミン/グロブリン(A/G)比はカゼイン食摂取群で低下し、分離大豆たん白質食、特に大豆ペプチド食摂取群において上昇する現象に着目した。 一般に血漿アルブミン値と炎症反応は逆相関関係があることが知られている。そこで炎症に関わるサイトカインの血漿濃度を調べた結果、腸管傷害後の大豆ペプチド食摂取群において他の食餌摂取群に比べて炎症性サイトカインIL-6および抗炎症性サイトカインIL-10の血漿濃度が正常ラットのレベルに回復する傾向がみられた。 以上より、大豆ペプチド食摂取により腸管の組織傷害が抑えられたことと、ペプチドとして窒素源が効率よく吸収されたことにより、血漿アルブミン値が上昇し、その結果としてA/G比が上昇したと考えられた。また、大豆ペプチド食摂取により肝臓アルブミン合成が促進されているのではないかと考え、現在そのメカニズムを調べるため、肝臓組織を用いて肝アルブミン量、アルブミン遺伝子発現について検討している。今後詳細な調節機構についてサイトカインとの関連からさらに検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)