2009 Fiscal Year Annual Research Report
大豆食品と魚油の組み合わせによる肝臓・脂肪組織での脂質代謝調節機能
Project/Area Number |
20700615
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
高橋 陽子 National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (50353933)
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Keywords | 凍り豆腐 / 魚油 / 肝臓 / 遺伝子発現 / 脂肪酸 / コレステロール |
Research Abstract |
大豆や魚は日本食の基本素材であり、いずれも血清脂質濃度の低下に有効であると考えられている。そこで、凍り豆腐と魚油をそれぞれ単独で摂取した場合、あるいは同時摂取した時の生体での脂質代謝への影響を解析した。20%カゼイン、またはそのタンパク質15%相当を凍り豆腐に置換したタンパク質源と、15%大豆油、またはその5%の脂質を魚油に置換した脂質源とを組み合わせた食餌により、雄SDラットを3週間飼育した。血清中性脂肪およびコレステロール濃度は、カゼイン食および大豆油食と比べ、凍り豆腐食および魚油食によりそれぞれ有意に減少したが、脂質源とタンパク質源の組み合わせによる相互作用は見られなかった。肝臓での脂肪酸合成系酵素の活性およびmRNA発現量は、凍り豆腐および魚油により低下した。コレステロール代謝関連の遺伝子では、コレステロール排出に関与すると考えられているATP-binding cassette transporter(ABC)G5とABCG8の発現量は凍り豆腐により大きく上昇し、魚油もこれらの発現量を上昇させた。胆汁酸合成に関わる酵素Cyp7alの発現量は凍り豆腐摂取群で増加したが、食餌脂質の影響は観察されなかった。これらの結果を昨年度の実験データと比較したところ、凍り豆腐食は大豆タンパク質と類似した脂質代謝調節作用を持っことが明らかになった。一方、肩胛骨間褐色脂肪組織では、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)と脱共役タンパク質(UCP)の発現量が凍り豆腐および魚油摂取群で増加したが、睾丸周辺白色脂肪組織ではそれらの変化が認められなかった。以上の結果より、タンパク質が豊富な大豆食品と長鎖不飽和脂肪酸が豊富な魚の摂取は、肝臓での脂質代謝関連遺伝子の発現に影響を与え、血清脂質濃度の低下に寄与すると考えられた。また、凍り豆腐および魚油を同時に摂取すると、それぞれの脂質代謝調節作用が相加的に現れる傾向があることが示唆された。
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Research Products
(3 results)