2008 Fiscal Year Annual Research Report
燃料電池・超伝導体を用いた小中学校実験理科学習のための教材開発
Project/Area Number |
20700628
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
吉田 健一 Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology, ものづくり工学科, 准教授 (60252201)
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Keywords | 超伝導 / 燃料電池 / 小学校 / 中学校 / 出前授業 |
Research Abstract |
本年度は、小学校や中学校の理科出前授業で使用可能な、超伝導と燃料電池を用いた教材開発に取り組んだ。 まず超伝導体を用いた教材に関しては、Y123、La123、Gd123の3種類の物質を211と銀または酸化銀と混合し、溶融体型の酸化物超伝導体を合成し、強い磁気浮上力を持つ物質の合成を目指した。その結果、La123は試料合成に窒素などの不活性ガス雰囲気が必要でかつ磁気浮上力の大きい物質を合成できなかった。Gd123に関しては超伝導に起因する反磁性ではなく、Gdの磁気モーメントに起因する常磁性を有する物質しか合成することができなかった。また文献によると、空気中での合成も可能であるが、そのためには劇物であるBaO2が必要であることから、合成の際に安全面に問題があることが判明し、Gd123では教材合成のための製法を確立することができなかった。 Y123に関しては、市販品と同等な磁気浮上力を有する物質の合成にした。この際にはY123:Y211:Ag=1:0.4モル : 15wt%の配合比で最も磁気浮上特性が高い物質が合成できることが分かった。さらに混合する銀と酸化銀を比較したところ、銀の方が磁気浮上力特性が高いことが分かった。本年度は20φ程度の試料の合成に成功したが、教材としては小さいので、次年度は試料のより大型化を目指して研究を進めていく予定である。また今後は開発した試料を用いて、地域小中学生のための理科イベントへの教材投入を目指す。 固体酸化物燃料電池の教材開発に関しては、教材として利用可能な、Ni+YSZ、Ni+GDCといった多孔質燃料極の開発に成功した。しかしながら、通常の湿式セラミックプロセスで電解質を燃料極基板上に作製しても、現状では緻密膜になる条件を見出せていない。したがって今後は多孔質燃料極基板上に緻密電解質を積層する条件を見出すために、実験条件を変化させて最適条件を見出せるようにしたい。一方、PLD法では緻密電解質の作製に成功しているので、今後は燃料電池としての耐久性を持つ単セルの開発に取り組む。
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