2010 Fiscal Year Annual Research Report
小・中学校の歴史学習におけるハイパーメディア教材利用の有効性の検討
Project/Area Number |
20700633
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
李 禧承 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 準研究員 (50463823)
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Keywords | ハイパーメディア教材 / 論争性 / グローバル議論モデル / 内容構成 / デザインモデル |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の研究成果として提案した歴史学習における「論争性」の理解を支援するための「議論モデル」に基づき、歴史ハイパーメディアのデザインモデル及びモデル教材を作成し、その学習効果を検討することを目的とした。そのために、大きく3つの実施計画を立てた。1.「論争性」を有する歴史的課題(日本と韓国の教科書に掲載された歴史的事件とする)を設定し、関連する資料とデータ(日本と韓国)を収集する。2.「議論モデル」に基づき、1.の資料・データを配置し、具体的な歴史ハイパーメディアのデザインモデルを作成する。(3)デザインモデルからモデル教材を作成し事例調査で実施・教材効果を検討する。 その成果は、次の2点にまとめられる。(1)「論争性」の理解を支援するために生徒が習得すべき「グローバル議論モデル」の構成要素として「(1)歴史事件に関する対立の見解」、「(2)各見解の根拠」、「(3)根拠間の関係性」の3つとし、ハイパーメディア・デザインモデルを作成するための歴史的課題として加藤公明(1991)の「植民地はどっちだ-大和政権と朝鮮」の授業実践の援用が適することを指摘した。(2)「植民地はどっちだ-大和政権と朝鮮」の授業実践を「グローバル議論モデル」の3つの構成要素に照らし、不十分であった「(2)各見解の根拠」と「(3)根拠間の関係性」の内容を追加し、内容構成を行った(下記の〔雑誌論文〕)。特に、「論争性」の理解のために生徒に不可欠な「グローバル議論モデル」の構成が、具体的にどのような歴史的課題となるのかを理論的な根拠に基づいて提案したこと、またその「グローバル議論モデル」の内容構成を行うことで、ハイパーメディア・モデル教材を作成するためのデザインモデルとして提示したのは本年度の重要な研究成果である。
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