2008 Fiscal Year Annual Research Report
特別支援教育における指導情報蓄積と協働指導を目的としたWebシステムの構築
Project/Area Number |
20700635
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
永森 正仁 Nagaoka University of Technology, 工学部, 助教 (80334697)
|
Keywords | 教育工学 / 情報システム / 社会福祉関係 / 特別支援教育 |
Research Abstract |
【成果の内容】当該年度は計画に準じてシステム構築および, システムの教育現場での試験的運用を実施した. 構築したシステムは, 複数教育現場の端末コンピュータに構築した「Webカメラ制御・サブシステム」と, 大学のサーバーに構築した「データベース・サブシステム」から構成され, この2つのサブシステムはWebを介して連携する. システムの利点は, 以下のWebカメラによる事例記録機能を持つことである。(1)Webカメラは授業中, ワイヤレスマウスにより記録が開始されると, 20秒間遡りビデオ記録をサーバーに蓄積する. これにより, 通常突発的に起こる児童の問題行動をタイミング良くビデオ記録できる. (2)Webカメラで記録されたビデオ記録により不確かな記憶に頼ることなく, 問題行動を明確に電子カルテに記述することができる. (3)システムには最大4台のWebカメラが接続でき, 問題行動を複数の角度から記録できる.これにより, 複雑な問題行動に対し欠如・間違いなく, 具体的・詳細に問題行動を電子カルテに記述することができる. (4)システムには事例として, ビデオ記録と電子カルテが蓄積され, 問題行動を分析し指導方法の改善を検討するための電子掲示板とともに教師らが共有することができる. 本システムの利点(1)〜(3)を評価実験により明らかにし, さらに教育現場でシステムを試験的に運用することで利点(4)を確認した. 【成果の意義】2007年度に開始された特別支援教育においては, 支援対象児童に対する学習指導の方法や問題行動への対処といった, 教育的支援に関する具体的な指導情報の共有とその手法の確立が喫緊の課題である. しかしながら, 対象児童の指導記録はその問題行動の多様性ゆえに記述し難く, テキスト等の記述のみでは現場で生じた事例の相互提供およびその指導情報を共有することは困難である. 本研究成果は, 現場教員および児童支援者が分散した視点からのビデオ記録を含めた情報共有・蓄積を可能にするものであり, 特別支援教育に対する情報システムによる支援, およびその実践データ蓄積の意義は大きい.
|