2008 Fiscal Year Annual Research Report
石窟壁画の劣化に影響を与える環境要素の予測と定量化に関する研究
Project/Area Number |
20700665
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
宇野 朋子 National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo, 文化遺産国際協力センター, 特別研究員 (90415620)
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Keywords | 環境数値解析 / 保存科学 / 建築環境工学 |
Research Abstract |
バーミヤーン石窟や敦煌石窟に残る石窟壁画は、長期にわたり自然環境にさらされてきたため、褪色や変色などの劣化が進行している。このような褪色や変色などの劣化の要因については、これまでフィールド調査が中心とした調査研究がなされており、定性的な検討が行われている。しかしながら、壁画の劣化についてより詳細に把握するためには、劣化要因の定量的な評価が必要となる。そのためには、これまでの調査で得られる結果に加えて、数値解析などを利用したシミュレーションによって、要因の分析を行うことが有効である。 本研究では、流体解析、熱水分解析などの数値解析を利用し、石窟壁画の温度・水分量・受照光量の3要素についての定量化を行い、環境要因の影響度と劣化の分布性状との相関関係を明らかにし、壁画の劣化に影響を及ぼす環境要素の特定とその影響について、考察することを目的としている。現在、壁画の保存状況の詳細調査が行われている敦煌漠高窟第285窟の壁画を主な調査対象としている。基礎データの収集、数値解析と環境要素の定量化、壁画の劣化に関するデータ収集、劣化と環境要素との相関関係の解明をすすめる。さらに、過去・未来の環境について数値解析シミュレーションを実施し、劣化以前や将来の状態について予測行うことを目標とする。 初年度となる本年度は、敦煌莫高窟における基礎的なデータ(気象、石窟内の環境、壁画の構成材料、石窟の幾何学的構造など)の収集を行った。これらから、数値解析の入力データとなる環境要素について検討を行った。壁画表面での受照光量について、石窟の幾何学的構造を考慮し、壁面に照射する日射量を解析した。結果について現在検討を進めている。今後、石窟内の気流解析と実測データとの比較、周辺の岩盤を含めた熱水分同時移動解析による石窟内の温湿度環境の解析、それらデータと劣化状況との比較について検討を行う予定である。
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Research Products
(1 results)