2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20700666
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Research Institution | The National Museum of Modern Art, Tokyo |
Principal Investigator |
板倉 史明 The National Museum of Modern Art, Tokyo, フィルムセンター, 研究員 (20415623)
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Keywords | 映画 / フィルム / 復元 / 保存 / 可燃性 / アーカイブ |
Research Abstract |
1) NFC所蔵の『史劇楠訣別』(1921年)可燃性ネガフィルムについて、フレーム単位の調査を行い、当時の撮影プロセスやそのフィルムの来歴について調査を実施した。この可燃性ネガフィルムは、全部で33枚のフィルム・ストリップがつなぎあわされたものである。冒頭の2枚のタイトル部分(写真1・2)とエンドの「終」字幕にはアグファ社製のフィルムが使用されているが、それ以外はすべてイーストマンコダック社(以下EK)が製造のフィルムが製造したフィルムである。EKのフィルムには、製造年を特定することのできるイヤーマークが付さけていることが多いが、1928年にフィルムが製造さけたことを示す記号「●●●」が記された3番目のストリップを除き、すべて1920年(■■)か、または1921年(▲▲)に製造されたフィルムであることがれかった。このことから、『史劇楠公訣別』(1921年)可燃性ネガフィルムは、1921年12月8日の撮影時にカメラに装填されていた「カメラネガ」(=オリジナルネガ)フィルムであることが明らかになった。これは、現存する日本映画のフィルムとしては2番目に古いオリジナルネガ素材である。 2) 無声映画期の可燃性フィルムの色彩表現である染色と調色の復元を検討するために、現像所のIMAGICAアェストと共同で、復元の実験を実施した。結果として、無声映画時代の伝統的な手法を用いて青色染色を実現することができた。 3) 昨年度に検討した可燃性フィルムを元素材とする最良のデジタル復元の作業フロー結果に基づき、『紅葉狩[日活版]』(柴田常吉、1899年)の可燃性デュープネガから最良のマスターポジを作成し、全編デジタル復元を実施した。
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