2008 Fiscal Year Annual Research Report
風化・侵食速度が山地小流域の水文地形プロセスにおよぼす影響
Project/Area Number |
20700668
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八反地 剛 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (00418625)
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Keywords | 地形学 / 水文学 / 風化 / 侵食 / 流域 / 土砂流出 |
Research Abstract |
現在の水文地形学において, 侵食・風化速度や水文地形プロセスが基盤岩石によって異なっていることは知られている. しかし, 両者を結びづける研究事例が非常に少ない状況にある. 本研究の主目的は風化・侵食速度のバランス, 水文地形プロセス, 谷の発生条件の相互関係を明らかにすることである. 具体的には, 次のテーマの解明を試みる : (A) 阿武隈山地のカコウ岩流域では, 風化制約・運搬制約のどちらの条件にあるか?, (B) 足尾山地の堆積岩流域では風化制約・運搬制約のどちらの条件にあるか?, (C) カコウ岩流域と堆積岩流域では基盤岩石の風化に対する抵抗性にどの程度差異があるのか? 平成20年度の研究実施計画は(1) 小流域での短期観測での短期侵食速度測定, (2) TCN法に基づく長期侵食速度測定, (3) 小流域での水質測定による溶出量測定, (4) 微量元素濃度分析による長期風化速度推定に着手することである. それぞれ予定通り着手したが, いずれも観測・分析に時間の要するものが大半のため, 現在も分析中の状態にある. 計画(1) について8年間の掃流土砂流出量データから足尾山地のチャート流域の方が砂岩流域に比ベて10倍以上侵食速度が速い傾向が得られているが, 最終的な値は浮遊土砂測定の結果によって多少変化する可能性がある. 計画(4) の微量元素濃度分析による長期風化速度推定については, 長野県松本市のカコウ岩流域を対象に分析を行い, 流域の起伏量に応じて風化速度が変化する傾向が得られているが, 現状では測定誤差が大きいため, その影響を減らしたうえで最終確定値を報告する予定である.
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