2010 Fiscal Year Annual Research Report
風化・侵食速度が山地小流域の水文地形プロセスにおよぼす影響
Project/Area Number |
20700668
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八反地 剛 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (00418625)
|
Keywords | 地形学 / 水文学 / 風化 / 侵食 / 流域 / 土砂流出 |
Research Abstract |
本研究の主目的は異なる基盤岩石からなる山地小流域において,水文地形プロセスの観測とTCN年代法や地球化学的物質収支法を組み合わせることで,風化・侵食速度,水文地形プロセス,谷の発生条件の相互関係を明らかにすることである.平成22年度の研究計画は(1)堆積岩山地の侵食速度と水文地形プロセスの解明,(2)花崗岩山地の風化・侵食速度の解明,(3)野外実験による風化に対する抵抗性の評価である.堆積岩山地(栃木県鹿沼市)においてTCN法によって求められた最近1万年間の平均侵食速度と,最近10年間の現地観測で得られた土砂流出量と比較した.その結果,数10年サイクルで生じる小規模な土石流がこの地域の侵食に大きく寄与していることが明らかとなった.一方,花崗岩山地(長野県芦間川)ではTCN法による10Be濃度測定とXRF分析によるTi濃縮率に基づき長期化学的風化速度を推定した.その結果,既存研究での指摘とは異なり,侵食速度の大きな領域(500mm/Kyr以上)では,化学的風化が全削剥に対して占める割合が低下することが明らかとなった.さらに,阿武隈山地の野外風化実験サイトにおける現地観測により,各サイトの風化環境が解明され,従来の実験で得られた結果と比較することにより,岩石による風化速度の差異を説明できることが示唆された.
|
Research Products
(4 results)