2008 Fiscal Year Annual Research Report
海洋食物連鎖における真核微生物ラビリンチュラ類の生態学的役割の解明
Project/Area Number |
20710009
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
長野 直樹 University of Miyazaki, 農学部, 研究員 (50437943)
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Keywords | 食物連鎖 / ラビリンチュラ類 / 繊毛虫類 |
Research Abstract |
真核微生物ラビリンチュラ類は海洋生態系において落葉等の陸源有機物の分解者として重要な役割を果たしていると考えられているが、食物連鎖における生態学的役割については未だ明らかでない。本研究の目的はラビリンチュラ類とそれらの捕食者と推定される繊毛虫類との関係を明らかにすることであり、ラビリンチュラ類と繊毛虫類との被捕食関係を明らかにするために、以下の摂餌の確認および摂餌量の推定を行った。 ラビリンチュラ類の採集は宮崎県、鹿児島県および沖縄県の沿岸域で年間を通して行い、海水や落ち葉等から約200株を分離後、寒天培地および液体培地で培養を行った。顕微鏡下での形態観察、18SrRNA遺伝子配列解析および脂肪酸の分析によりラビリンチュラ類の同定を行ったところ、分離株はAurantiochytrium属、Thraustochytrium属、およびSchizochytrium属に分類された。繊毛虫類は宮崎県沿岸の海水から分離した。形態観察により繊毛虫類はEuplotes sp.と分類された。 次に分離したEuplotes sp. によるラビリンチュラ分離株の摂餌の確認を行った。Euplotes sp. Aurantiochytrium属に対しては摂餌をしめしたが、細胞サイズが大きく、凝集性のあるThraustochytrium属、およびSchizochytrium属に対しては摂餌を行わなかった。Euplotes sp. によるAurantiochytrium sp. に対する摂餌量を推定したところ、10^2-10^3 cells/ciliate/hであった。また、Aurantiochytrium sp. を摂餌したEuplotes sp. は増殖性をしめしたことから、ラビリンチュラ類は海洋生態系において繊毛虫類の餌生物となっていることが示唆された。
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