2008 Fiscal Year Annual Research Report
広域・高時間分解観測によるハロゲン化多環芳香族類の環境動態解析とリスク影響評価
Project/Area Number |
20710010
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
大浦 健 University of Shizuoka, 環境科学研究所, 助教 (60315851)
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Keywords | 塩素化PAH / 臭素化PAH / 光分解 / 焼却灰 / ガス / 粒子分配 / 発生源 |
Research Abstract |
平成20年度は、塩素化多環芳香族炭化水素(CIPAHs)ならびに臭素化多環芳香族炭化水素(BrPAHs)といったハロゲン化多環芳香族炭化水素の環境動態に関する基礎的知見を得るため、大気環境分析ならびに光分解試験、さらにそれらの発生源解析として焼却試料における分析を実施した。具体的には、ハイボリュームエアーサンプラーを用いて採取した静岡県内の大気試料中からCIPAHを分析し、ガス/粒子分配係数を算出した。その結果、CIPAHのガス/粒子分配は置換した塩素数よりも骨格のPAH環数に依存していることがわかった。また、気温との関係を調べたところ、ガス状のCIPAH濃度の27〜63%は気温の変動によるものであることが示唆された。つぎに、CIPAHの大気運命を検討するため、最も寄与が大きいとされる光分解性を調べた。CIPAHの光分解試験は大気粒子表面を模した有機溶媒中で光照射を行い、速度論解析によりその光分解性を明らかにした。その結果、CIPAHの光分解性は骨格のPAHに強く依存しており、置換した塩素数が増加するにつれて光安定性が増す傾向が見られた。さらに構造活性相関解析によりCIPAHの光分解はELUMO+1、total energy、表面積が関与していることが示唆された。最後に、CIPAHの発生源調査の一環として焼却灰中のCIPAH濃度を分析したところ、その組成比は大気中のそれと類似していたことから、焼却施設は大気中のCIPAHの主要な発生源であることが示唆された。また、同属体を比較したところ、焼却灰中では塩素数が増加するにつれてその濃度が増加する傾向が見られたことから、CIPAHの生成は塩素に二次的な反応により進行していることが推測された。
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[Book] POPs Research in Asia2008
Author(s)
M. Morita, T. Ohura, R. Kuruto, H. Sakakibara, T. Amagai, K. Shimoi
Total Pages
583
Publisher
M. Morita, Ehime University