2008 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸域における異化型硝酸還元過程の解明に関する研究
Project/Area Number |
20710011
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
千賀 有希子 Rissho University, 地球環境科学部, 助教 (30434210)
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Keywords | 異化型硝酸還元 / DNRA / 脱窒 / 沿岸域 |
Research Abstract |
近年, 陸域から沿岸域へ流出するNO_3^-が増大している. そのため沿岸域の水質の富栄養化や酸性化が懸念されており, NO_3^-の消失過程を把握することは沿岸域の窒素浄化にとって極めて重要である. 沿岸域におけるNO_3^-の消失には脱窒とアンモニアへの異化型硝酸還元(DNRA)が考えられる. 脱窒は, 窒素を系外に放出する過程であるのにたいして, DNRAは系内に窒素をとどめてしまう貯留する過程である. どちらの過程が優位になるかによって窒素浄化の程度は大きく異なり, 沿岸域の富栄養化に大きな影響を及ぼす可能性が高い. このような重要な過程でありながら, 特にDNRAに関しては不明な点が多い. そこで本研究では, 沿岸域である洞沼(茨城県)を調査地とし脱窒とDNRAの時空間的変動特性を解明することを目的とする. 沿岸堆積物に^<15>NO_3^-を添加しインキ・ユベーションすることにより生成物 (NH_4^+, N_2, N_2Oの安定同位体比)を測定し, 異化型硝酸還元に対する脱窒とDNRAの時空間変動特性を解明するために, 密閉式アクリルコアサンプラーを作製し検討を行った. 密閉性が悪い, 温度を一定に保ちにくい, 窒素の回収率が低いなど問題点を改良した. 今後は, 改良した密閉式アクリルコアサンプラーを用いて定期的に沿岸堆積物を測定していく予定である. また, 沿岸堆積物の異化型硝酸還元過程と比較するために, 淡水湿地である釧路湿原の脱窒活性を堆積物深度ごとに測定した. 脱窒の鉛直プロファイルは両調査地点とも変わりなかったが, 釧路湿原のNO_3^-のプロファイルは深度に伴って高くなり涸沼とは異なっていた.今後も両地点の異化型硝酸還元過程について比較・検討していく予定である.
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Research Products
(3 results)