2008 Fiscal Year Annual Research Report
大気エアロゾル中炭素成分測定の向上とアジアにおける越境大気汚染観測への適用
Project/Area Number |
20710015
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
長谷川 就一 National Institute for Environmental Studies, アジア自然共生研究グループ, NIESフェロー (00391144)
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Keywords | 大気エアロゾル / 越境大気汚染 / 元素状炭素 / 有機炭素 / 微小粒子 / 黄砂 |
Research Abstract |
熱分離・光学補正法による炭化補正値の妥当性を検証するため,フィルター上の単位面積当たりのEC量を広い範囲にわたって取る必要があることから,大気中濃度の低い郊外地点と,濃度の高い沿道地点で試料を採取し分析した.今後,これに既存のデータを合わせ,単位面積当たりのEC量と炭化補正値との関係,また,反射光強度あるいは透過光強度の低下量から推定された炭化量と実際の炭化補正値との関係を解析し,単位面積当たりのEC量の妥当な範囲やそれに対応する試料採取条件を明らかにする. 石英繊維フィルターの正のアーティファクトの低減方法の検討については,一般的な真空デシケーターを用いた真空処理によるブランク除去を試験したが,逆にブランクの増加が観察された.これは,真空デシケーターのゴムパッキン,あるいは吸引ポンプのオイルによるコンタミネーションが可能性として考えられた.このため,真空容器やポンプ,および実験系を検討し直し,再試験を行なう.加熱処理による試験についても合わせて行なっていく. フィールドサンプリングについては,観測データの蓄積の必要があることから,沖縄本島にある国立環境研究所辺戸観測ステーションにフィルターサンプラーを2台設置し,PM2.5(微小粒子)とPM10(微小粒子+粗大粒子)のサンプリングを開始した.越境汚染が顕著になる春季は24時間間隔でのサンプリングを実施し,試料は順調に採取できつつある.試料分析とデータ解析は進行中であるが,越境汚染と思われる試料も採取されている.今後,夏季から冬季にかけては1週間間隔でのサンプリングに切り替え,来年春までサンプリングを継続する予定である.
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