2009 Fiscal Year Annual Research Report
大気エアロゾル中炭素成分測定の向上とアジアにおける越境大気汚染観測への適用
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20710015
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
長谷川 就一 Center for Environmental Science in Saitama, 大気環境担当, 主任 (00391144)
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Keywords | 環境分析 / 大気エアロゾル / 越境大気汚染 / 元素状炭素 / 有機炭素 |
Research Abstract |
炭素成分を測定する際に使用する石英繊維フィルターへのガス状有機物の吸着を小さくする前処理法を検討した.高温加熱でブランクを除去することによる吸着の影響を見るため,加熱温度を変えたフィルターを作成し,各フィルターの上にアフロンフィルターを重ねて粒子を除去しながら同一条件でサンプリングすることで吸着量の違いを調べた.未加熱のフィルターでも吸着が見られたが,加熱した方が吸着量は多く,加熱温度が高い方がより多くなる傾向であった.このため,前処理は未加熱,あるいは300℃程度で短時間の加熱にとどめた方がよいと考えられた. 有機炭素(OC),元素状炭素(EC),炭酸塩炭素(CC)を適切に区別して分析するための試料処理法や条件などを検討するため,黄土標準試料と都市大気粒子標準試料を混合・再飛散させてサンプリングした試料,および対照としてそれぞれ単独の試料を作製した.これらをリン酸処理してCCを取り除いた試料とそうでない試料を分析し比較したところ,CCは取り除けたがOCとECには何らかの変質が見られた.変質の要因の解明については今後の課題である. 水溶性有機炭素(WSOC)は長距離輸送や二次生成の目安になるが,WSOCは熱分解するものが多いと言われていることから,炭化補正値(熱分解OC量)とWSOC量との関係を調べ,炭化補正値からWSOC量を推定できるかどうか検討した.正の相関があることは確かめられたがばらつきがあり,両者を関係付ける式を高い信頼性で構築するのは難しいと考えられた. 前年度後半から開始した沖縄辺戸観測ステーションにおけるPM_<10>とPM_<2.5>のフィールドサンプリングを継続した.これによって得られた試料を分析し,OC,ECの濃度や比率,黄砂粒子とOC,ECの混合の様子や,越境汚染によるWSOCの挙動を考察した.
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Research Products
(1 results)