2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱赤外リモートセンシングと地表面熱収支モデルを併用した都市域の蒸発散量推定
Project/Area Number |
20710022
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
平野 勇二郎 National Institute for Environmental Studies, アジア自然共生研究グループ, NIES特別研究員 (70436319)
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Keywords | 都市熱環境 / リモートセンシング / 地表面熱収支 / 植生活性度 / 熱赤外バンド / 気象モデル / ヒートアイランド / 蒸発散 |
Research Abstract |
都市の地表面からの蒸発散について熱収支と水収支の両面から検討するため、メソスケール気象モデルを用いて東京都心部を対象としたシミュレーションを行なった。まず水量制約を考慮せずに約10km四方を全て完全湿潤面としてシミュレーションを行なったところ、気温低下は約2℃にも及んだ。ただし、この計算ケースの地表面熱収支を調べたところ、正味放射のほとんどが潜熱フラックスとして地表面から放出されており、建物の屋上緑化面などで計測した潜熱フラックスの2倍にも及ぶ大きな潜熱フラックスが生じるという結果となった。このケースにおいて蒸発散量は8.4[mm/日]であった。また、蒸発効率を変化させて蒸発散量と気温低下効果の関係を調べたところ、今回の計算条件では日平均気温を1℃低下させるのに必要な蒸発散量は約4[mm/日]となった。次に都市緑化を行なった場合の蒸発散による地表面熱収支変化とその気温低下効果を明らかにするため、緑化シナリオを設定して気象シミュレーションを行なった。緑化シナリオは建物ポリゴンデータと衛星リモートセンシングによる夏季の緑被率データに基づき、建物用途別に非建ぺい地における緑化の上限を設定することにより、東京都心部において約8%の緑被率増大を想定した。この場合の気温低下効果をメソスケール気象モデルにより計算した結果、夏季の一般的な気象条件では主に東京都区部の北西部において気温低下効果が大きく、沿岸部は内陸部と比較して気温低下効果が小さいという傾向が生じた。今回想定した気象条件では、中野付近において夏季日中に最大で約0.7℃の気温低下効果が生じるという結果となった。
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