2009 Fiscal Year Annual Research Report
Th2アジュバント活性定量法を用いたアトピー性皮膚炎の環境要因の評価
Project/Area Number |
20710026
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
東 丈裕 Saitama Medical University, 医学部, 助教 (00468381)
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Keywords | 樹状細胞 / アジュバント / アトピー性皮膚炎 / 母乳 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)は多彩な遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合って発症し、その症状が維持されていくと考えられている。環境要因に関しては、生後より摂取する母乳の関与が重要であると推測されてきたが、疫学的検討では母乳とADの関連性について一定の見解が得られていない。内的環境要因により、様々なIgEクラスの抗体の上昇を認めるADにおいて、T細胞はTh1ではなくTh2に分化しており、さらに特に重症化する例ではその傾向が顕著であるという作業仮説が成り立つが、コホートを用いたこれら内的環境要因の質的評価を伴う大規模研究は未だ行われていない。そこで、研究代表者は乳幼児期のAD患者及び健常者を対象として、乳幼児の摂取した母乳を、in vitroで評価した。具体的方法については下記の通りである。 ・生後3カ月時点でのAD(+)群、AD(-)群、それぞれ55例が生後4日目に摂取した母乳を対象とした。 ・PMAで誘導したTHP-1細胞と母乳を共培養し、細胞内に誘導されたcAMP濃度をELISAにて測定した(これまでの研究代表者の検討から、Th2アジュバントはTHP-1細胞内cAMPを上昇させる)。 その結果AD(+)群はAD(-)群に比して細胞内cAMPを有意に高く誘導した。つまり一部のAD患児が摂取した母乳はTh2アジュバント活性が高い事を示唆するものである。 また健常児が摂取した母乳にはこのような活性がまったく見られなかったことは特記すべきである。 母乳内のTh2アジュバント活性を有する物質の同定等については、今後の詳細な検討が必要であるが、今回の研究代表者が得た結果は、ADと関連しうる物質が母乳中に存在することを示唆した世界初の知見である。
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Research Products
(8 results)