2009 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線吸収剤の水環境中挙動の解析及び水生生物に対するリスク評価に関する研究
Project/Area Number |
20710030
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Research Institution | Center for Environmental Science in Saitama |
Principal Investigator |
亀田 豊 Center for Environmental Science in Saitama, 水環境担当, 主任 (60397081)
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Keywords | 紫外線吸収剤 / 環境分析 / 生物蓄積性 / 安定同位体比 / ベンゾトリアゾール系 / PPCPs / 食物連鎖 / 生物濃縮性 |
Research Abstract |
紫外線吸収剤は現在、化粧品や高分子製品に使用される必要不可欠な化学物質であるが、その生態毒性が世界的にも懸念され、環境中挙動や生物蓄積性の情報が求められている。しかし、実際の環境における紫外線吸収剤の濃度、底質及び水生生物への移行に関する研究事例は著しく少ない。 そこで、本研究では現在使用量が多いと推定される紫外線吸収剤を抽出するとともに、それらの水生生物中の濃度分析手法を確立することを目的とした。加えて水生生物中の紫外線吸収剤の濃度を把握するとともにその蓄積特性を把握することを目的とした。さらに、ダイオキシン類やPCB類で生じることが報告されている、食物網内で生じる生物濃縮性が紫外線吸収剤にもあるのか否かを評価することも目的とした。 埼玉県内の汚染度合いの異なる水域三地点(生活雑排水がほぼ無処理で流入している生活排水路、A類型に指定されている河川上流域及びB類型に指定されている河川中流域)について、付着藻類、底生生物、水生昆虫、貝類、エビ類、オタマジャクシ、魚類を採取し、23種類の紫外線吸収剤の体内濃度を測定した。その結果、すべての調査地点において全ての水生生物から紫外線吸収剤が検出されたことから、紫外線吸収剤の水生生物への広範囲な蓄積が確認された。蓄積された紫外線吸収剤は、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(高分子製品添加材用)、OMC(化粧品由来)及びBP-3(化粧品由来)であった。一方、炭素・窒素安定同位体比を用いた食物網構造解析の結果、これらの紫外線吸収剤の生物体内濃度は高次の栄養段階の水生生物ほど減少したことから、生物濃縮性はみられなかった。
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Research Products
(3 results)