2008 Fiscal Year Annual Research Report
炭素隔離技術に関する国際的技術アセスメントの有効性評価とその要因分析に関する研究
Project/Area Number |
20710032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 敦 Tohoku University, 東北アジア研究センター, 准教授 (30391064)
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Keywords | 環境政策 / 炭素隔離技術 / 科学アセスメント / 科学技術社会学 / 気候変動 |
Research Abstract |
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が実施した炭素隔離技術に関する国際科学アセスメントの影響力について、インタビューを行った。その結果、海洋隔離技術の章に関しては、その内容が当該技術に関する不確実性を明確に示すものであったため、主に各国の技術開発政策において当該技術開発の推進を押しとどめる方向で影響力を発揮した可能性が高いことが判明した。 また、文献調査の結果、IPCCによる国際科学アセスメントに尽力したレオ・マイヤー博士は次の理由から、炭素隔離技術に関する楽観論に警鐘を鳴らしていることが分かった。1. 炭素隔離技術を用いた大規模な発電プロジェクトはまだ実施されたことがなく、計画されていたいくつかのプロジェクトはキャンセルされたこと、 2. 炭素隔離技術は、「つなぎの技術」として売り出されているが、そうした主張が本当かどうかは疑わしく、原子力発電の時のような論争が起きる可能性がある。 同様の文献調査から、現在、炭素隔離技術に関する言説をまとめると、積極的推進派(再生可能エネルギーは頼ることができない一方で、炭素隔離技術はビジネスチャンスも提供する)、消極的推進派(再生可能エネルギーや技術革新が起こるまでの「つなぎの技術」)、反対派(炭素隔離技術は、必要とされている温室効果ガスを迅速にもたらすことはできず、化石燃料使用を正当化するだけのものである)のように分類できることが分かった。
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