2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭素隔離技術に関する国際的技術アセスメントの有効性評価とその要因分析に関する研究
Project/Area Number |
20710032
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 敦 Tohoku University, 東北アジア研究センター, 准教授 (30391064)
|
Keywords | 環境政策 / 炭素隔離技術 / 科学アセスメント / 科学技術社会学 / 気候変動 |
Research Abstract |
炭素隔離技術の国際的なテクノロジーアセスメントが日本国内に及ぼした政策的影響を調べるため、実際の炭素隔離技術に関するデモンストレーションプロジェクト(石炭層メタンガス増進回収プロジェクト)を調査した。一次資料、インタビューなどを実施した結果、国際的なテクノロジーアセスメントはあまり影響を及ぼしてはいないことが判明した。また、新聞紙上では同プロジェクトのフレーミングは十分に明らかにできない恐れがあったため、一次資料やインタビューのフレーミングに関する分析を行ったところ、テクノクラート主義のストーリーラインが構築されてきていることが明らかになり、それは日本の一般的な政策決定プロセスと非常に親和性が高い、という分析結果となった。また、同アセスメントが日本の炭素隔離技術政策にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにするため、同アセスメントの知見をもとに統合的炭素隔離技術政策に関する概念枠組みを構築し、日本の炭素隔離技術政策の評価を行った。その結果、日本の政策は同アセスメントの知見を取り込んでおらず、統合の度合いが低いことが分かった。さらに、その理由として新たな説明変数を提案した。すなわち、温室効果ガスの削減目標の厳しさ、政策議論におけるフレーミング、国ごとの文脈、である。明らかになった政策的含意としては、日本はより広いステークホルダーを政策決定プロセスに参加させ、政策的相互連関のある問題を含めた議論を政策に反映していくことで統合の度合いが高まることが挙げられる。
|