2010 Fiscal Year Annual Research Report
人々の環境モラルに基づく自発的行動と望ましい環境政策
Project/Area Number |
20710034
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥島 真一郎 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (20431653)
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Keywords | 環境政策 / 環境モラル / 価格インセンテブ / 地球温暖化 / エネルギー / 分解分析 / 環境と開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、環境モラルに基づく人々の自発的行動を促進するような政策や経済的手法(価格インセンティブ政策)の有効性を評価し、望ましいポリシーミックス等について考察することである。平成22年度は、独自に開発した要因分解手法(MCDA)の応用、また、環境モラルに基づく人々の自発的行動のモデル化及び分析を進め、以下のような成果を得た。 1.独自に開発した要因分解手法「多時点カリブレーション分解分析」(MCDA)のモデルを改良した。具体的には、エネルギー多消費型産業を詳細に記述したモデルを整備し、ボトムアップの知見ともリンクした形で、過去の日本経済を対象に価格要因についてより精緻な実証分析を行った。 2.価格要因を評価する際のMCDAの優位性について理論面から再考察した。具体的には、Casler and Rose(1998)における要因分解手法とMCDAを理論的に比較し、特に価格要因評価の観点から両手法の特徴について考察した。さらに、過去のデータを用いて実際に要因分解を行い、価格要因の評価に関するMCDAの優位性を確認した。 3.環境モラルに基づく人々の自発的行動のモデル化を行い、理論分析を行った。具体的には、包括的判断関数を用いて、環境モラルに基づく人々の行動についての異なるモデル(帰結志向型と行為志向型)を構築し、様々な応用理論分析を行った。対象事例は、発展途上国における開発プロジェクトの報酬体系(PES、REDD等)、環境モラルを持つ労働者が存在する場合のグリーン企業とブラウン企業の市場における優劣、個人のモラル・モチベーションの強さと社会状態の相互作用(高いモラル・モチベーションを持つ個人は長期的に存続可能であるか)などの話題である。本研究から得られた成果は、環境政策以外の様々なスキームにも応用可能であると考えられる。
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Research Products
(4 results)