2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20710040
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
堀 正和 独立行政法人水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所・生産環境部, 主任研究員 (50443370)
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Keywords | 生態系機能 / 生態系サービス / 生物多様性 / 持続可能性 / アマモ場 / 沿岸域 / 保全再生 / 環境経済 |
Research Abstract |
本年度は前年度に引き続き8つのアマモ場の生態系サービスの試算と経済的価値付加を全国各地で行い、その地域差を評価するとともに試算手法の選定を行った。前年度の試算手法と異なる点として、アマモの一次生産量の計算手法を多くの生態系サービスに直結した形にするべく、株あたりから藻場面積あたりの生産量に変更した。 その結果、昨年に大きな地域変異があることが明らかになった二次生産・堆積作用等のアマモ群落構造に関連した生態系機能に加え、一次生産に関連した生態系機能についても、従来の知見よりもおおな地域変異性があることが明らかとなった。その理由として、従来では一次生産/現存量比が国内いずれの海域も4程度で試算されていたのに対し、各海域で直接測定を行った結果を用いた本研究では最大で14程度、最少で3程度と10以上のばらつきがあったことがあげられる。 これらの値をもとに、各地の二酸化炭素吸収量の年間値を試算した例では、北海道海域で1tC/ha、東日本海域で5.7tC/ha、西日本海域で3.5tC/haとなった。CO_2排出量取引では、欧州気候取引所の2011年度価格で1tあたり平均1200円程度となっていることから、アマモ場のCO2吸収サービスの経済価値は北海道海域で約1200円/ha、東日本海域で約7000円/ha、西日本海域で約4200円/haとなった。ただし、CO_2排出量取引価格は大きく変動し、たとえば2020年には1tあたり平均10000円近くにまで上昇することも予測されているため、長期的な価値評価では現価格の2~3倍程度の価値となると予測された。また、アマモ場の持続性を加えた試算では西日本ほど持続性が低く試算されたことから、他の生態系サービスも含め地域差はさらに拡大することが明らかとなった。
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