2009 Fiscal Year Annual Research Report
損傷乗り越え型DNA合成酵素Rev1の発がんへの関与
Project/Area Number |
20710043
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
豊島 めぐみ Hiroshima University, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (80423052)
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Keywords | 放射線 / マウス / 発がん / 損傷乗り越え修復 / 細胞、組織 / 化学物質 |
Research Abstract |
放射線発がん、化学発がんで検出される点突然変異誘発のメカニズムは未だ不明な部分が多い。点突然変異の誘発には、細胞内のゲノムDNA修復機構として知られている損傷乗り越えDNA合成機構が深く関与することが明らかになっている。本研究では、損傷乗り越えDNA合成機構が放射線発がん、化学発がんに及ぼす寄与を個体レベルで明らかにする事を試みた。 3週齢のC57BL/6系統の野生型マウス、Rev1トランスジェニックマウスを準備し、屠殺を行う直前まで25mM ZnSO4水を自由摂取させた。6週齢で、0.9%生理食塩水に溶解したN-methyl-N-nitrosourea(MNU)を50mg/kgを2回腹腔内投与した。その後、屠殺し、小腸に誘発した腫瘍を顕微鏡で観察しながら採取した。採取した腫瘍試料からtotal RNAを抽出し、RT-PCR法によりcDNAを合成した。合成したcDNAを鋳型として、ダイレクトシークエンス法により遺伝子突然変異の検出を行った。野生型マウスとRev1トランスジェニックマウスでは検出された突然変異頻度に有意な差が検出された。また野生型マウス、Rev1トランスジェニックマウス由来小腸腫瘍から検出された突然変異のスペクトラムを比較したところ、検出された変異スペクトラムに差があることが明らかとなった。 本研究により、Rev1過剰発現が化学物質による発がんに影響を及ぼすことを示唆する結果が得られた。また、化学物質投与により誘発された腫瘍を用いた解析から、Rev1過剰発現により高頻度に検出される突然変異部位を検出することができた。
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