2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子の機能解析による放射線特異的な乳癌誘発メカニズムの解明
Project/Area Number |
20710049
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
今岡 達彦 National Institute of Radiological Sciences, 放射線防護研究センター, 主任研究員 (40356134)
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Keywords | 放射線発がん / 乳がん / 遺伝子機能解析 / siRNA / RNA干渉 / がん細胞株 |
Research Abstract |
放射線発がんの分子メカニズム解明のため、実験動物(ラット)の放射線誘発がんにおいて特徴的な変動を示す新規遺伝子を網羅的な方法で検索し、これらの遺伝子のがん形質に関する機能解析を行った。今年度は、 1.乳がん細胞株および正常乳腺細胞株を入手し、細胞数計測およびMTT変法による増殖能評価系を確立した。 2.12種類の新規遺伝子を検討対象として選定した。まず、各遺伝子の発現状態を通常のRT-PCR法および定量的RT-PCR法により検討したところ、3遺伝子について、ヒト乳がん検体(市販抽出物)および細胞株における高発現を確認した。そこで、これら3遺伝子のデザイン済みsiRNAを購入した。 3.ラット乳がんにおいて発現減少を示す遺伝子で、上記細胞株でも低発現を示すものは、存在しなかった。 4.緑色蛍光タンパク発現ベクターを用いたトランスフェクション条件検討については、導入する核酸の分子量がsiRNAと比較して大きいため、トランスフェクション効率を正確に評価できないと考えられた。そこで、市販の陽性対照用siRNA(GAPDH遺伝子)による発現抑制を指標に、トランスフェクション条件を確立した。 5.動物実験で得られた自然発症および放射線誘発ラット乳癌からの細胞株の樹立の試みを開始した。 6.上記の結果が予定より早く得られたため、計画を前倒しして、上記3遺伝子についてsiRNAによる遺伝子発現抑制を確認し、がん細胞株の増殖能を検討したところ、2遺伝子のsiRNAが増殖を抑制した。 これらの結果は、上記2つの新規遺伝子が放射線誘発乳がんで高発現し、増殖促進に関わることを示唆している。
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