2011 Fiscal Year Annual Research Report
微生物共生系を活用した、セルロース系廃棄物資源化プロセスの構築
Project/Area Number |
20710061
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤井 克彦 山口大学, 農学部, 准教授 (30333660)
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Keywords | バイオマス / セルラーゼ |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に確立したセルロース分解微生物分離・培養法を用いて各種土壌から分解微生物を探索し、その酵素活性を検討した。 亜熱帯土壌を用いて試験した。具体的には、固有の生態系を持つヤンバル亜熱帯原生林(沖縄)の土壌からセルロース分解微生物を分離し、その性質を解析した。ヤンバル林土壌の滅菌水懸濁液を無機塩培地に接種し、その上から滅菌済ろ紙を敷き、30℃で好気培養した。2週間の培養の後、出現した微生物コロニーを分離し、分離株の系統分類ならびに酵素活性の測定を行った。遺伝学的系統解析から、分離株は9属の細菌種と3属の糸状菌種に分類できた。いずれの種でもセルラーゼ活性が検出され、いくつかの株はTrichodermaセルラーゼに匹敵する酵素活性を有していた。また、多くの株がキシラナーゼ活性も兼ね備えていた。また、Gliocephalotrichum、SiMmonas、Pandorea属のセルラーゼ生産菌も分離できたが、これらの属ではこれまで当該酵素活性が報告されていなかったことから、本研究が最初の報告例となった。既知のセルラーゼと比較しても遜色のない酵素活性が検出されたことから、新規酵素の探索源として有望であることも示唆された。 さらに寒帯土壌ならびにミミズの糞塊を試料として同様に微生物全離を試みたところ、これらの試料からもこれまでセルラーゼ分解能が知られていなかった属種の株が多数見つかり、高い酵素活性を有する株も分離できた。分離株の中には培養上清練に還元糖を遊離しているものも見つかった。これらの微生物が酵母と混合培養可能であれば、農産廃棄物(バイオマス)からエタノールを直接生産可能であると期待された。現在これらの結果について学術論本として投稿準備中である。
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