2008 Fiscal Year Annual Research Report
異化型ヒ酸塩還元細菌と天然メディエーターを併用した汚染土壌からのヒ素除去
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20710063
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
山村 茂樹 National Institute for Environmental Studies, 水土壌圏環境研究領域, 研究員 (90414391)
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Keywords | 土壌汚染 / バイオレメディエーション / ヒ素 / ヒ酸塩還元 / メディエーター / 嫌気性微生物 |
Research Abstract |
本研究では、異化型ヒ酸塩還元細菌によるヒ素の還元・可溶化作用とメディエーターを複合的に利用して、汚染土壌からのヒ素の経済的除去を可能とする新規技術の開発を目指している。 H20年度は、異化型ヒ酸塩還元細菌によるヒ素可溶化反応に対して、高い促進効果を持つ天然由来メディエーターを選定するため、ヒ酸塩を含むアルミニウム及び鉄(III)沈殿物からのヒ素可溶化試験を網羅的に行った。実験には、微生物を介した酸化・還元反応のメディエーターとなり得る天然由来の物質として、ビタミンB2やB12などの計10種類を用いた。結果、アルミニウム沈殿物からは、実験に利用した全てのメディエーターで顕著なヒ素可溶化の促進は認められなかった。従って、メディエーターでは、固相中のヒ酸塩還元による直接的可溶化は促進できないことが明らかとなった。一方で、鉄(III)沈殿物を用いた実験では、リボフラビン(ビタミンB2)やその補酵素型であるFMN及びFADの添加によって、大幅なヒ素溶出の増加が確認された。中でもリボフラビンは、合成メディエーターであるAQDSと同レベル、もしくはそれ以上の可溶化促進能を有していることが明らかとなり、異化型ヒ酸塩還元細菌とともに汚染土壌浄化への適用に有望であることが示された。また、ヒ素の可溶化にともなって鉄の溶出が確認されたことから、メディエーターの共存によって、主に固相中の鉄(III)の還元・溶出に付随した間接的なヒ素可溶化が促進されることが明らかとなった。
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