2009 Fiscal Year Annual Research Report
異化型ヒ酸塩還元細菌と天然メディエーターを併用した汚染土壌からのヒ素除去
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20710063
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
山村 茂樹 National Institute for Environmental Studies, 水土壌圏環境研究領域, 研究員 (90414391)
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Keywords | 土壌汚染 / バイオレメディエーション / ヒ素 / ヒ酸塩還元 / メディエーター / 嫌気性微生物 |
Research Abstract |
本研究では、異化型ヒ酸塩還元細菌によるヒ素の還元・可溶化作用とメディエーターを複合的に利用して、汚染土壌からのヒ素の経済的除去を可能とする新規技術の開発を目指している。 昨年度の実験から、異化型ヒ酸塩還元細菌によるヒ素可溶化において、リボフラビン(ビタミンB_2)やその補酵素型であるFMN及びFADが、高い促進効果を持つメディエーターとして機能し得ることが明らかとなった。なかでも、比較的安価で入手可能なリボフラビンが実利用に有望であると考えられることから、リボフラビンのメディエーターとしての特性をより詳細に調べた。異なるリボフラビン濃度でヒ素可溶化試験を行った結果、濃度の上昇と共にヒ素可溶化速度・並びに固相からのヒ素除去率の向上が見られたが、高濃度域では顕著な差が見られず、50μM程度が最適であることが明らかとなった。また、リボフラビンは合成メディエーターであるAQDSと同様のメカニズムでヒ素可溶化を促進していることが示唆され、実際の汚染土壌でも効率的にヒ素の可溶化・除去を促進し得ることが示された。一方、ヒ酸塩還元能を持たない鉄(III)還元細菌を用いた対照実験では、リボフラビンによって鉄(III)の還元・溶出が促進されたものの、ヒ素の可溶化はほとんど起きなかった。本研究の結果から、異化型ヒ酸塩還元細菌とリボフラビンの併用によって、ヒ素汚染土壌のバイオレメディエーションプロセスが構築可能であることが示され、実用に向けた最適条件が明らかとなった。
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