2009 Fiscal Year Annual Research Report
粘土質土壌・鉱産物の利用による炭素系新規多孔性吸着材料の研究
Project/Area Number |
20710065
|
Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
安彦 泰進 National Institute of Occupational Safety and Health, Japan, 環境計測管理研究グループ, 主任研究員 (80342947)
|
Keywords | 環境技術 / 環境材料 / ナノ材料 / 多孔性物質 / 吸着材料 / 粘土質土壌 / 炭素材料 |
Research Abstract |
多孔性炭素材料の持つガス吸着能力の把握に関連して、前年度までにWheeler-Jonas式の拡張を用いる、温度・湿度の影響も考慮に入れた有機溶剤ガス吸着のシミュレーションを既存の椰子殻活性炭での実測結果を対象に行い、これらに関しての知見を得た。この知見について公表と普及を進めることを目的として、今年度は化学系の国内学会での研究発表を行うと共に、その内容を和文技術解説5件にまとめ、それぞれ安全衛生関連の論文誌への投稿を行った。平成21年度終了の時点でこれらは刊行に向けて改訂または査読中となっている。また、関連する英文原著論文1件が刊行済、1件が刊行予定である。 多孔性炭素材料の合成では、前年度までに得られた合成プロセスの改善に関する知見を元に実験を進めた結果、沖縄県産黒糖の使用により有効な比表面積を持った試料を新たに得た。また、これまでに合成を終えた試料のうち有効な性能が見込まれるものと、有機ガス吸着用の既存の代表的椰子殻活性炭製品との吸着能力を比較した結果、有機ガスの一つであるシクロヘキサンの吸着容量において優位である一方、水蒸気の吸着は活性炭製品よりも起こりにくいことが分かった。従来の活性炭では保管中の吸湿によって有機ガス吸着性能が損なわれることが問題とされてきたが、本研究で得られた多孔性炭素試料からは、保管中の吸湿の影響を心配しなくとも良く、さらに有機ガス吸着能力のより高い吸着材料が実現できる可能性があり、これは注目できる結果である。これらの試料の詳しい化学成分と細孔発達状態の解析を進めることで、今後の材料開発に向けてさらに有益な知見が得られるものと期待できる。以上の成果は詳細の検討結果がまとまり次第、原著論文等での公表を図ることを予定している。
|
Research Products
(4 results)