2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム制御による生分解性ナノハイブリッド材料の創製
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20710067
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
長澤 尚胤 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (00370437)
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Keywords | 量子ビーム / 環境材料 / ナノ微粒子 / 多糖類 / 橋かけ(架橋) / バイオマス / 生分解性プラスチック / 複合材料・物性 |
Research Abstract |
多糖類は多種多様の種類があるので、開発した高濃度ペースト状放射線橋かけでゲル化するカルボキシメチルセルロース(CMC)を基準物質として、共同研究先の企業から提供を受けた多糖類等を素材とし、高濃度ベースト状での放射線橋かけによるゲル化生成の可能性について検討した。橋かけ度合いとして水に浸漬した不溶分から算出するゲル分率測定や粘度等を測定した。その結果、キサンタンガム、アラビアガム、タマリンドシードガムが、低濃度で粘度が大きくなり、10%濃度以上でγ線照射により橋かけし、約20〜30倍吸水することを見いだした。さらに、物理ゲルが生成しない塩化カルシウムを添加したCMC水溶液においてγ線を照射した結果、橋かけしてゲル化し、光散乱法で測定した粒径が平均約300-500nmのサイズを有するナノ微粒子になることを見いだした。溶液中での初期粒径が、線量および塩化カルシウムの添加量の増加とともに、10kGyまで100mnに小さくなる傾向がみられた。さらに線量を増加すると、CMC微粒子の凝集効果による粒子径(1000nm)の増加が見られた。また、CMCと水の放射線分解で生成するOHラジカルとの反応で生じる高分子マクロラジカルについて電子スピン共鳴(ESR)法を用いて、高分子マクロラジカル同定並びにラジカル減衰挙動を評価した結果、カルボキシメチル基の第2級炭素上にラジカルが生成することを同定した。以上のように、放射線橋かけする多糖類を新たに見いだしたことにより、機能性多糖類材料の創製の足がかりとなり、さらに、多糖類のナノ微粒子の創製、ラジカルの部位等を明らかにしたことにより、多糖類の放射線利用拡大に貢献できると考えられる。
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