2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム制御による生分解性ナノハイブリッド材料の創製
Project/Area Number |
20710067
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
長澤 尚胤 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (00370437)
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Keywords | 量子ビーム / 環境材料 / ナノ微粒子 / 多糖類 / 橋かけ(架橋) / バイオマス / 生分解性プラスチック / 複合材料・物性 |
Research Abstract |
耐熱性、機械的特性の優れた新しい生分解性ナノハイブリッド材料を創製するため、カルボキシメチルセルロース(CMC)微小ゲルの放射線グラフト重合による表面改質並びにポリ乳酸とのブレンド化と放射線橋かけ技術開発を行った。ゲル粒子のグラフト化は非常に困難であったので、基準物質として放射線架橋したCMCゲルの表面改質においては、放射線橋かけしたCMCゲルヘスチレンやマレイン酸モノマーの放射線グラフト重合を行った結果、溶媒中に数%の水を添加するとグラフト反応が起こりやすくなることや表面だけでなく内部までグラフト化することがわかった。ポリ乳酸ナノハイブリッド材料については、橋かけ反応に有効なトリアリルイソシアヌレート(5%)と表面改質したCMCゲルの粉砕物(5%、平均サイズ50μm)とを混練したポリ乳酸フィルムに電子線を照射し、200℃までの動的粘弾性変化を評価した。分散性は非常に悪く、フィルムの透明性が損なわれるが、が、50kGy照射して橋かけすることにより、貯蔵弾性率E'の急激な低下が改善できる傾向が得られた。ポリ乳酸との相溶性改善には、グラフト化反応条件の最適化やゲル粒子のグラフト化が今後の課題である。以上のように、放射線改質した多糖類ゲルやポリ乳酸ナノハイブリッド材料の創製することにより、多糖類をはじめとした生分解性高分子の放射線利用拡大に貢献できると考えられる。
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