2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20710071
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野内 亮 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (70452406)
|
Keywords | 自己組織化単分子膜 / アルカンチオール / 有機電界効果型トランジスタ / スイッチング |
Research Abstract |
本研究は自己組織化単分子膜(SAM)に対する外部刺激が引き起こすコンダクタンス・スイッチングのメカニズム解明を目指すものである。これまでのSAMの伝導度測定手法の欠点を補うものとして、有機電界効果型トランジスタ(OFET)構造にSAMを組み込む新規な手法を用いる。これにより外部刺激による変化のみを検出することが初めて可能となる。電子デバイスの基本的な動作原理は、電子・正孔といった電荷キャリアの流れを外場によって制御することであり、分子スケールの電子デバイスとしてSAMを考える場合、特に外部電界に対する応答を知ることが重要となる。SAMの電界による変調効果に関する基礎的知見を集めることが本研究の目的である。 OFETを用いたSAMのコンダクタンス・スイッチングは出力特性(ドレイン電流-ソース・ドレイン電圧特性)に現れるヒステリシスとして観測される。これはドレイン電圧の掃引に対して行きよりも帰りの方がドレイン電流の値が大きいというものである。OFETはゲート電界により電流が流れる条件と流れない条件を作り出すことが可能であることから、電界のみの印加、電界・電流ともに印加の二つの条件下で測定可能となる。これによりスイッチングの誘因が電界であることを明らかにした。また、SAMの形成密度を小さくすると、SAMを構成する分子間の相互作用が弱まり構造は不安定化される。形成密度の小さいSAMほど大きいスイッチングが観測されたことから、SAMで見られるコンダクタンス・スイッチングはSAM構造の秩序・無秩序転移により引き起こされたことが分かった。
|