2008 Fiscal Year Annual Research Report
表面誘起分子組織化による固体表面間の液晶の潤滑に関する研究
Project/Area Number |
20710074
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐久間 博 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 大学院教育改革支援プログラム研究員 (20400426)
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Keywords | トライボロジー / 表面・界面物性 / メゾスコピック系 / 表面力測定 / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
固体表面間の摩擦の理解および制御は、効率的な動力伝達による省エネルギー化や部品の耐久性向上など工学をはじめとする幅広い分野において重要な課題である。本研究は、ナノ共振ずり測定を用いた液晶・液体ナノ薄膜の摩擦・潤滑特性の直接評価および分子シミュレーションによる固体表面-液体(液晶)間の相互作用の解明から、液体ナノ薄膜による潤滑剤設計の基礎を構築することを目的とする。 本年度はまず測定装置の開発を行った。従来ナノ共振ずり測定で一つの表面間距離ごとにナノ薄膜の摩擦・潤滑特性を測定するのに3〜5分程度の測定時間を必要としたが、新たにフーリエ変換式共振ずり測定の開発により2〜10秒という大幅な測定時間の短縮に成功した。このことにより、大幅に測定対象試料の拡大、同じ試料での測定回数の増大が可能となった。この新規手法は、本測定装置のユーザーの拡大・製品化に向けた大きな成果である。次に固/液界面において固体表面が液体の構造化やダイナミクスに及ぼす影響を分子スケールから理解するため、走査トンネル顕微鏡(STM)によるグラファイト(HOPG)表面上の液晶分子解)配向構造の観察や分子シミュレーションによる相互作用の評価を行った。本年度は特に、固/液界面に対して高信頼性の分子シミュレーションを行うため、界面の構造を高分解能で測定可能なX線反射率測定と分子シミュレーションを直接比較する手法を開発した。まずX線反射率測定の実験結果が豊富な雲母-水界面に関して分子シミュレーションを行い、我々の計算結果がよく界面の構造を再現できていることを確認した。本手法により、固/液界面の構造に関して、従来困難番あった原子スケールでの詳細な議論が今後可能になると期待している。
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