2010 Fiscal Year Annual Research Report
表面誘起分子組織化による固体表面間の液晶の潤滑に関する研究
Project/Area Number |
20710074
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐久間 博 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特任助教 (20400426)
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Keywords | トライボロジー / 表面・界面物性 / メゾスコピック系 / 表面力測定 / 分子シミュレーション / X線CTR散乱 / 水和潤滑 |
Research Abstract |
固体表面間の摩擦の理解および制御は、効率的な動力伝達による省エネルギー化や部品の耐久性向上など工学をはじめとする幅広い分野において重要な課題である。本研究は、ナノ共振ずり測定を用いた液晶・液体ナノ薄膜の摩擦・潤滑特性の直接評価および分子シミュレーションによる固体表面-液体(液晶)間の相互作用の解明から、液体ナノ薄膜による潤滑剤設計の基礎を構築することを目的とする。 本年度は、固/液界面の構造を詳細に調べるため、界面の構造を1オングストローム以下の分解能で測定可能なX線CTR散乱測定を、昨年度に引き続き高エネルギー加速器研究機構で行った。表面力測定等でナノメートルの隙間の潤滑性が調べられている雲母表面間の塩水溶液について、その固液界面の電子密度分布を測定した。さらにこの電子密度の振動が、雲母表面に吸着した水和Li^+, Na^+, K^+, Cs^+, H_3O^+イオンとその周りの構造化した水分子に起因することを、分子シミュレーションから明らかにした。本年度の研究成果は、水和潤滑のメカニズムの解明に向けて大きく貢献すると考えている。 またグラファイト表面が、どのように液晶の組織構造に影響を与えるかを解明するため、第一原理電子状態計算により相互作用エネルギーを計算した。さらに得られた相互作用エネルギーから大規模な分子シミュレーションを可能とする原子間相互作用の力場を精密に決定した。この力場を使用することで、グラファイト表面近傍における液晶分子の構造・物性の解明に向けて、数万原子以上を対象とした大規模分子シミュレーションを行うことができるようになった。今後本研究課題を基盤として、継続して液体(液晶)ナノ薄膜のトライボロジーを理解する研究を行う。
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