2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライトLSX中に配列したアルカリ金属クラスターのフェリ磁性の研究
Project/Area Number |
20710077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 岳仁 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (50362611)
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Keywords | アルカリ金属クラスター / ゼオライト / フェリ磁性 / 反強磁性 |
Research Abstract |
ゼオライトLSXでは,内径約0.7nmのβケージと内径約1.3nmのスーパーケージがそれぞれダイアモンド構造で配列している.LSXの1ユニット中には合計12個のNa^+およびK^+の陽イオンが分布しており,そこにK原子を吸蔵することによってケージ内にクラスターが形成される.Na-K合金クラスターの平均組成はユニット当たりNa_xK_<12-x+n>と書ける.ここでnが吸蔵数であり,クラスターに含まれるs電子数に等しい.本課題のこれまでの研究により,Na含有量xとK吸蔵量nに依存してフェリ磁性が発現することが分かっている.本年度はxとnを種々変えた試料を作成し,非破壊パルスマグネットを用いて50Tまでの強磁場磁化過程を測定した.クラスターの組成に依存して,スピンフロップ磁場,飽和磁場,飽和磁化が系統的に変化した.フェリ磁性の磁気副格子のバランスがNa-K比に依存して変化していること表すデータであり,この系のフェリ磁性特性の理解につながる重要な結果が得られた.分子場近似による解析により,Na含有量が多い試料ほど,磁気副格子間の相互作用が系統的に強くなっていることが分かった.これはNaは片側の副格子を形成するクラスターのみに分布する傾向があるため,クラスターの電子に対するポテンシャルが変化して,副格子間相互作用が変化したものと考えられる. また,関連物質であるソーダライト中のアルカリ金属クラスターの反強磁性について,反強磁性共鳴とμSR測定により詳細に調べた.この系は磁気異方性が極めて小さく理想的なハイゼンベルグ型反強磁性体であることを明らかにした.
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Research Products
(12 results)