2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライトLSX中に配列したアルカリ金属クラスターのフェリ磁性の研究
Project/Area Number |
20710077
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 岳仁 大阪大学, 理学研究科, 助教 (50362611)
|
Keywords | アルカリ金属クラスター / ゼオライト / フェリ磁性 / 強磁性 |
Research Abstract |
ゼオライトLSXでは,内径約0.7nmのβケージと内径約1.3nmのスーパーケージがそれぞれダイアモンド構造で配列している.1ユニット中には計12個のNa^+およびK^+の陽イオンが分布し,そこにK原子を吸蔵するとケージ内にクラスターが形成される.Na-K合金クラスターの平均組成はユニット当たりNa_xK_<12-x+n>と書ける.nが吸蔵数であり,クラスターに含まれるs電子数に等しい.本課題のこれまでの研究により,Na含有量xが6.2以下の試料ではK吸蔵量nに依存してフェリ磁性が発現し,その性質はxの値に依存して系統的に変化することが分かっている.一方,Na含有量の多いx=7.8では非磁性となる.そこで本年度の研究では,x=6.2と7.8の間に位置するx=7.3の試料をイオン交換により作成し,nを全域で細かく変化させて,磁気的・光学的性質を詳しく調べた.x=7.3の試料では,8.6≦n≦9.6の範囲で自発磁化が発現し,フェリ磁性秩序が実現していることが分かった.自発磁化の値も大きく,磁気秩序は試料全体に渡って均質に実現していると考えられる.すなわち,Na含有量がx=7.3から7.8まで,ユニット当たりの平均値にして僅かに0.5個増加するだけで磁気秩序が抑制されることが明らかになった.このような現象はクラスターの電子に対するポテンシャルが組成に対して連続的に変化するという単純なモデルでは説明ができず,Naイオンの強い電子格子相互作用が磁気モーメント発生に対して極めて重要な役割を果たしていることが明らかになった.本年度の研究により,この物質のアルカリ元素の組成に対する磁気相図の全貌を明らかにすることができた.
|
Research Products
(9 results)