2010 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理量子輸送計算による高機能界面ナノ構造の設計
Project/Area Number |
20710078
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 倫也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80335372)
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Keywords | 第一原理計算 / 界面 / 電子輸送 |
Research Abstract |
本研究では、ナノ構造の電子状態や電気伝導特性を量子力学の第一原理に基づいて予測するためのシミュレーション手法および開発を行っている。特に、今後の計算機の進化の傾向を鑑み、並列計算に有利な実空間差分法を用い、ペタコン世代の計算環境でグローバルスタンダードとなる大規模第一原理計算コードを開発しようとするものである。コードの基幹部分の開発は研究代表者が中心となって行い、一部のサブルーチンはドイツ・ユーリッヒ研究所と共同でも開発している。 平成22年度は、開発した第一原理計算コードを用いて、次世代のMOSデバイス構造と期待されているGe/GeO_2界面の界面欠陥とリーク電流の関連性を調べた。Si/SiO_2界面の界面構造については、これまで多くの研究が行われ複数の界面欠陥構造が提唱されているが、Ge/GeO_2界面についてはほとんど分かっていない。そこで、Ge/GeO_2界面の界面原子構造と欠陥構造の探索から着手した。そして、一般的にSi/SiO_2界面で知られているようなPbセンターと呼ばれる界面欠陥は、欠陥順位がGe基板の価電子帯に埋もれているため、スピン磁気共鳴などでは観測できないことが分かった。また、一般的に考えられているIV族半導体と酸化膜界面は、IV族原子が4つの酸素原子に囲まれた4配位構造である。しかし、Ge/GeO_2界面の場合は、6つの酸素原子に囲まれた6配位構造の方がエネルギー的に安定であることを突き止めた。そして、これらの界面構造を用いて、MOS界面のゲート電極におけるリーク電流解析を行った。
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