2008 Fiscal Year Annual Research Report
球面収差補正電子顕微鏡による3次元位相構造観察手法の確立
Project/Area Number |
20710080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 武志 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (90363382)
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Keywords | 電子顕微鏡 / ナノポーラス金属 / 触媒 / ラマン分光 / 電子線トモグラフィ |
Research Abstract |
(1)脱成分腐食によるナノポーラス金の電気伝導機構について系統的な研究を行った。脱成分腐食により異なる金リガメントのサイズのナノポーラス金を作製した。電気抵抗の結果より、典型的な伝導金属であることがわかった。磁場抵抗の結果より、ナノレベルの金の伝導経路によって極めて小さな磁気抵抗しか示さないことが分かった。この磁気抵抗値はこれまで報告されている金属の磁気抵抗値よりも小さい。Kohlerプロットで種々の温度、金リガメントのサイズで整理したところ、どれも一致する結果となった。すなわち、電子状態は金リガメントによらず同じであることが分かった。これらの結果をまとめると、ナノポーラス金は伝導金属であるが、ナノスケールの金リガメントによる形状幾何学的無秩序(Topological disorder)によって、電子サイクロトロン運動が極めて抑制された金属であるということがわかった。 (2)電子線トモグラフィにより脱合金化プロセスで作製したナノポーラス金属の複雑な3D構造を対象とし, 3次元ナノ構造解析手法を確立した.細線化アルゴリズムをナノ孔のネットワーク構造にも適用することで, 金梁とナノ孔の一節ごとの長さ, 直径を統計的に測ることができ、分布が両者ともほとんど同じになることが分かった。つまり、形状幾何学的に金梁とナノ孔のネットワーク構造がほとんど同じである。表面において2つの主曲率を測定して正の曲率と負の曲率の統計分布とがほぼ重なっているのが分かった.つまり正味の曲率がゼロということになり、スピノーダル分解した自己相似性構造との共通点があることがわかった。
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