2009 Fiscal Year Annual Research Report
原子直視法を用いた単一カーボンナノカプセルの動的物性解析と一分子素子への応用
Project/Area Number |
20710085
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安坂 幸師 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (50361316)
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Keywords | その場透過電子顕微鏡法 / ナノカーボン |
Research Abstract |
本研究では、カーボンナノカプセルや、フラーレンナノウィスカー、カーボンナノチューブなどのナノカーボンを単一分子デバイスへ応用するために、その場透過電子顕微鏡法によりナノカーボン個々の構造を動的に観察すると同時に物性を測定し、ナノカーボン固有の構造と物性の関係を明らかにすることを目的とする。本年度、単一のカーボンナノカプセルやカーボンナノチューブについて解析評価を行い、機械特性や電子・金属輸送特性に関して成果を得た。特に、単一カーボンナノカプセルの機械特性に関しては、透過電子顕微鏡内部で、長軸が7.7nm、短軸が4.5nmの楕円体中空構造のカーボンナノカプセルの表面に原子間力顕微鏡用カンチレバーチップを押し付けたときの変形過程を解析し、以下の特性を明らかにした。ナノカプセルに2.5nNの力でカンチレバーチップを押し付けると、ナノカプセルは原子層1層分だけつぶれた。一度、カンチレバーチップをナノカプセルから引き離すと、ナノカプセルの形状は回復した。再び、カンチレバーチップを押し付けると、ナノカプセルはその内壁同士が接触するまで変形した。この変形に必要な力は4.7rN、応力は0.18GPaであった。ナノカプセルの中空構造がつぶれる最終段階までひずみを与えた後でも、カンチレバーチップを再びナノカプセルから引き離すと、その形状は回復することが明らかになった。本研究結果は、カーボンナノカプセルがもつナノ構造固有の優れた靱性と強度を定量的に示しており、ナノカプセルを単一分子デバイスへ応用する際の有用な基礎的知見となる。
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