2010 Fiscal Year Annual Research Report
オキソ酸遷移金属化合物ナノ粒子の結晶配向制御と電気化学活性
Project/Area Number |
20710090
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
獨古 薫 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (70438117)
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Keywords | ナノ材料 / 水熱合成 / リチウム電池 |
Research Abstract |
平成22年度は、硫酸マンガン5水和物の溶融アクア錯体とリン酸リチウムを出発物質としてLiMnPO4の微結晶を合成し、その電気化学特性について検討した。硫酸マンガン5水和物と等モルのリン酸リチウムを混合し、テフロン製耐圧容器を用いて190度で12時間熱処理を行った後、純水で洗浄することにより、LiMnPO4粉末を得た。合成されたLiMnPO4とスクロース水溶液を混合し、乾燥した後、アルゴン-水素混合ガス流通下700度で1時間熱処理を行うことによりカーボンコーティングを行った。合成した試料は斜方晶LiMnPO4(空間群:Pnma)に帰属でき、単一相であることをX線回折により確認した。また、収率は99%以上であった。硫酸マンガン5水和物は、融点が57度であるため、熱処理温度190度では溶融状態となっている。硫酸マンガン5水和物は100度で脱水するが、密閉反応容器中に水はとどまるため、MnSO4は溶融状態を保ち、脱水により生じたH20中でLiMnPO4の生成が進行していると考えられる。リン酸リチウムは水には難溶解性であるが、190度では一部溶解し、これが溶融アクア錯体中のMn2+イオンと反応してLiMnPO4が析出すると考えられる。合成されたLiMnPO4の粒子を透過型電子顕微鏡で観察した結果、50nm程度のLiMnPO4微結晶が得られていることが分かった。溶融アクア錯体中のMn2+イオン濃度は極めて高いため、核生成頻度が増大し、微結晶の合成に好適であることが分かった。得られたLiMnPO4にカーボンコーティングを施した後、有機電解液中で充放電試験を行ったところ、充放電容量は115mAh/g(活物質利用率:68%)であった。溶融アクア錯体を用いることにより、簡便にLiMnPO4の微粒子を合成することが可能であり、比表面積が増加し、粒子径が減少した結果、比較的良好な電池特性が発現したものと考えられる。
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Research Products
(3 results)