2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20710097
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
三井 敏之 Aoyama Gakuin University, 理工学部, 准教授 (40406814)
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Keywords | 生物物理 / ナノ材料 / マイクロナノデバイス |
Research Abstract |
本研究課題では、ナノポアの製作技術、蛍光顕微鏡によるDNAのリアルタイム観測を基盤とし、ナノポアの"装飾"による改良とそのポアによるDNAの通過観測を徹底して行った。先ずは、電極の製作の準備として、ナノポアをつくる表面を金蒸着により金属化した。そして、次に表面とポアの内面を金蒸着した。それらは、電子顕微鏡でその形状の詳細を確認した。その装飾したナノポアを用いてDNAの局所電場によるナノポア通過の観測を行った。予想通り金蒸着によりナノポアから染み出る電場が減り、更にこの研究課題の目的でもあるDNAのナノポア付着を軽減することに成功した。しかしながら、特にナノポアの内面を金で装飾した場合は、DNAの通過がほとんど観測されなかった。これはナノポアのまわりにどのように電場が形成されるかに依存するものと思われ、シミュレーションにより電場を評価したが、今のところ実験結果とは一致していない。 次にナノポアの生物分子・有機分子による装飾を試みた。ポア膜の洗浄の仕方を工夫することにより装飾が可能になった。有機分子の装飾は実験条件によりナノポアの内面にもできた。確認は金蒸着と同じく電子顕微鏡により行った。そして、装飾したナノポアをもちいてDNAの通過を観測した。蛍光顕微鏡観測によるとDNAのナノポア通過が50%減ったが、DNAが通過する際の付着する確率が大幅に減った。 最後にこの研究課題では、DNAのナノポア付着の問題を解決しうることが背景にあった。今までの研究結果において、その付着確率は減らせても、0にはできないことがわかった。そこで、付着したDNAをナノポアから取り除く方法を探求し発見した。印加電圧のDC成分にパルス状のAC成分を加えることによって可能となった。 これらの結果は世界中のナノポアを用いたDNA解析を行っている研究の基礎技術として応用できる。
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