2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20710109
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 正輝 Osaka University, 産業科学研究所, 准教授 (40362628)
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Keywords | 単一分子伝導 / トンネル伝導 / 量子伝導 / 機械的破断接合 / テトラチアフルバレン / テトラセレナフルバレン / Ni(dmit)2 / 有機伝導体 |
Research Abstract |
電極-分子-電極接合で量子伝導を得るための設計指針は確立されていないが、応用可能な単分子デバイスを開発するためには、量子伝導あるいは同程度の高いコンダクタンスを実現する必要がある。そこで、本研究では、HOMO-LUMOギャップの小さな有機ドナー分子の単分子コンダクタンス計測を行い、HOMO-LUMO,ギャップとコンダクタンスの相関を調べた。単分子伝導測定にはナノ加工機械的破断接合を用い、まずHOMO-LUMOギャップが3.8eVと1.4eVであるテトラチアフルバレン(TTF)とNi錯体([Ni(dmit)_2])を測定対象とした。TTFとNi(dmit)_2は金-硫黄結合で電極に接続されていることが光電子分光測定から示唆された。TTFとNi(dmit)_2の単分子コンダクタンスは、それぞれ、28mG_0(G_0 : 量子コンダクタンス)と5.3mG_0であることが、コンダクタンスヒストグラムより明らかとなった。さらに、TTFの硫黄原子をセレン原子に置換したテトラセレナフルバレン(TSF : HOMO-LUMOギャップ3.4eV)のコンダクタンスを測定したところ、単分子コンダクタンスが3.4mG_0であった。HOMO-LUMOギャップが5.3eVのベンゼンジチオールの単分子コンダクタンスが11mG_0であることを考えると、単分子コンダクタンスとHOMO-LUMOギャップは単純な1次相関の関係にないことが示唆され、電極-分子接合の結合状態が単分子コンダクタンスに大きく寄与することが示唆された。
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Research Products
(5 results)