Research Abstract |
MIMO-FIFO構造を有する繰り返し実行型の離散事象システムに対するロバストなスケジューラの構築と実装を行う.システムの記述には,Dioid代数系と呼ばれる離散数学系を用いる.この代数系を用いると,複数プロセスの並列実行,同期,非競合性などの制約関係が,現代制御理論の状態空間表現に類似した簡潔な線型方程式で記述できる.このため,制御理論分野におけるいくつかの研究成果,例えば,内部モデル制御,モデル予測制御,適応制御などのフレームワークを,Dioid代数系に適用する試みが行われてきた. しかし既存研究の大半は,通常の代数系でのフレームワークに極力手を加えずに応用することを基本方針としているため,(1)記述能力が低く,実システムへの適用範囲が限られている,(2)高速・効率的な計算方法についての検討がほとんどされておらず,大規模システムへの適用や,オンラインでの運用に難がある,(3)各プロセスの処理時間など,システムパラメータが確率的変動をする場合などの検討が不十分,などの問題があった. そこで本研究では,上記課題に対して,(1)既存の状態空間表現を拡張し,より広いクラスのシステムに適用可能にする,(2)状態空間表現の高速な計算方法について,アルゴリズムなどの理論面,実機での実装面での両面で検討する,(3)各プロセスでの処理時間の不確実性が高い場合に,全体の処理時間を短縮しつつ,意図した値に近い出力が得られるような方法論を検討する,ことなどを目的として検討をすすめる.
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