2008 Fiscal Year Annual Research Report
金融市場の企業合併・買収時における価格決定メカニズムの解明
Project/Area Number |
20710117
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 大志 Keio University, 大学院・経営管理研究科, 准教授 (60420478)
|
Keywords | ファイナンス / 行動経済学 / エージェントベースモデル / 資産運用 |
Research Abstract |
本研究では、コンピュータサイエンスにおいて進展してきたエーシェンベースモルを通じ、行動ファイナンス(行動経済学)において指摘されている意思決定のバイアスが金融市場に与える影響に焦点をあて分析を行う。とりわけ本研究では、投資家行動および経営者行動と価格変動の関連性について分析を行う。 はじめに、当研究において重要な役割を果たす投資家行動および経営者の行動に関する最先端の研究動向の調査を行った。当分析では、現実の金融市場における市場参加者行動のより深い理解を目的とし、国内に存在する機関投資家のファンドマネージャーおよび株式や債券のアナリストを訪問し、市場参加者の行動に関するヒアリングを実施した。 次いで、分析に用いる金融市場シミュレーターの構築を行った。本研究は、研究の理論構築および検証に計算機実験を予定しており、その目的で、サーバシステムー式(金融市場シミュレーター)およびソフトウェア(MATLIB R2008a, E-Views, Visual Mining Studio)を導入し、システムおよび分析環境の構築を行った。 本研究では、投資家行動および経営者の行動に焦点を当てた研究を行うが、はじめに、前者の投資家行動に焦点を当てた分析を行った。分析の結果、金融市場においては必ずしも合理的でない投資家が存在し続けるメカニズムのあることや必ずしも予測精度のよい投資家が生き残るわけではない可能性があることなど市場のメカニズムに関し興味深い知見を得た。次に、経営者の行動を取り込んだ分析を行い、その中で、仮想の市場の中でも現実の市場と同様の挙動が現れることなど興味深い現象を見出した。更に、当分析を通じ、当フレームワークが金融市場に関する教育という観点からも有効であることを見出した。
|